「音楽を福祉に」  中央法規出版   
 
まえがき から抜粋
 
 私は、3歳から始めたバイオリンをきっかけに、音楽と出会いました。その後、およそ55年の間、
音楽は私のバイブルであり、哲学であり続けてきました。 音楽を通じて人に出会い、人への
慈しみの尊さを知り、価値観を養い、美しいものへの感性を育てられ、音楽を含めた芸術とは、
深い精神性に支えられた人間の魂の賜物であることを知ることができました。これは声楽に転向し、
プロの演奏家となるべく勉強をする過程から、その後の演奏活動、教育活動、社会奉仕などを
続けて現在に至るまで、揺るぎないものとして私の中に存在しています。芸術時間である音楽とは、
多数の人々とともに美しい音の時間を共有することであり、まぎれもなく、人と人との魂を感じる
ことにほかなりません。

 その音楽が、人間や社会全体の幸福におおいに貢献する力をもつことを、さまざまな機会に私は
発見してきました。「音楽による社会貢献ができたら」というのが、「音楽と福祉」の考え方の
第一歩でした。それは「アイメイト(盲導犬)チャリティコンサート」という具体的な形で実現
することができ、現在まで続いています。
 その後、大学の福祉学部の教員として、現場も含めた社会福祉のプロの皆さんと接する中で、
「音楽が人間や社会全体の幸福におおいに貢献する力をもつこと」にますます確信を深くしました。
それと同時に、音楽を含めた「芸術」と、その感受性が「福祉」の世界にいかに必要かも痛感して
います。
 「医はアートである」とよくいわれますが、「福祉はアートである」と私は申し上げたい。
芸術活動の一翼を担ってきた私の経験と感性を通して、「福祉はアートである」ことを検証し、
少しでも解明することができたらと願っています。
 
 
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